公正取引委員会委員長の国会同意人事案について

福利厚生取引ええんかい

 公正取引委員会委員長の国会同意人事案について検討する。昨年も一昨年も同会の同意人事があったので調査した。今回で3回目となる。同会の説明は下記の通りその記事から引用する。

公正取引委員会は法務省の管轄で、独占禁止法等を執行する行政機関であり、国民生活に影響の大きい価格カルテルや談合、中小事業者等に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用など、社会的ニーズに対応した多様な事件に対処している。これら事件を摘発し、排除措置命令・課徴金納付命令といった行政処分を行うだけでなく、悪質重大な価格カルテルや談合事件等については、刑事処分を求めて検事総長に告発を行う。

https://masahikosakamoto.amebaownd.com/posts/42048871

https://masahikosakamoto.amebaownd.com/posts/51760006

公正取引委員会は他の諮問機関とは比較にならないくらい大きな組織である。人員も800名以上いる。カルテルや談合,中小事業者等に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用など,社会的ニーズに対応した多様な事件に対処している。公正取引委員会の委員は5名で構成され全員が常勤である。常勤の委員の報酬は年2409万円、委員長は2885万円。なぜだが報酬はすこぶる高額。任期も5年と他の諮問機関と比べてなぜか長い。

公正取引委員会の最近の勧告では、ビックカメラが下請けに販売促進費や実売助成費や拡販費などと称して下請け業者への支払を51社に対して約5億5千万円を減額していたことに対して下請法違反で摘発した。ビックカメラは下請け業者に速やかに支払い是正措置を執らないとといけない。独禁法では東京インテリアが取引先に取引先の従業員の派遣と開店協賛金を強要していた件で摘発、TOHOシネマズは映画配給会社に対してTOHOシネマズに新作の上映提案をすることを強要し確約を取っていた件、結婚相談所のIBJは加盟店に対して仲人連合など他の結婚相談情報提供会社に併せて加盟している加盟店に対して競合する他の情報会社を退会しないとIBJでのお見合いに制限をかけるという脅し行為を行ったことで独禁法違反として摘発した。令和6年のデータはまだ発表されていないが令和5年にカルテルや談合や不当取引で法的措置を講じたのは9件、警告など何らかの措置や処分を行ったのは91件であった。不当廉価等で申告を受けた件は3228件に上る。公正取引委員会は比較的大きな組織であるが超多忙な組織でもある。

さて、今回の国会同意人事であるが常勤での委員長の新任案である。このポストは財務省の天下りポストなのだろう、前任者は元国税庁長官であったが今回はさらに上席の元財務事務次官である茶谷栄治氏が予定されている。茶谷氏は東京大学法学部在学中に国家公務員試験と司法試験に合格した秀才。卒業後は当時の大蔵省に入省しエリート街道をまっしぐら。大臣官房、主計局長、財務事務次官を歴任。令和6年に退任後はみずほリサーチ&テクノロジーズの理事長を務めながら弁護士登録し日本最大規模の法律事務所である西村あさひ法律事務所の顧問となる。茶谷氏に関して私は良い印象がない。増税を上手にちびちびと行い国民の批判を逸らしてきた功績を認められて一番出世を達成してきた人物だと思っている。東日本の復興を建前に所得税を2.1%増税した。住民税も少額ずつ増税し10年かけて1000円国民負担を増やした。岸田文雄前総理を操って数多の増税を繰り返したのも茶谷氏の指揮の下である。茶谷氏の置き土産が付加税形式の防衛増税である。今国会の法人税制の改正案にちゃんと掲載されている。失われた30年云々と言われ日本の産業・経済界が世界から置いてきぼりを食らった要因は政府のデフレ政策と緊縮財政に起因すると考える。その先頭を走り経済力が弱まれば弱まるほど、産業が衰退すればするほど、国民の手取りが減れば減るほど出世して来たのが前々事務次官矢野康治や茶谷氏や現事務次官新川浩嗣氏らであろう。

茶谷氏は61歳とまだ若いが公職からは完全に離れてもらうことを願う。財務官僚として大きな失敗のない功労者なのかもしれないが、日本はGDPをはじめ国際競争力、国内供給生産力などだけではなく精神的・経済的な利益や幸福も失って来た。日本の凋落の一端は財政政策の過失にあることは否めない。高額高級ポストである公正取引委員会委員長ポストを財務事務次官や事務次官級である国税庁長官のOBが横滑りで就任することはそろそろやめるべきである。公正取引委員会は経済取引に係る執行機関であるから経済産業省のOBが就く方が違和感がないはず。もしくは独禁法や下請法を根拠に取引を監視し是正するのだから法務省のOBでも良いと思う。少なくとも財務省は公取との関連性は強くない。財務省ばかり悪者にするようで恐縮だがいつまでも財務省がこのポストを世襲すると既得権益が岩盤レベルの厚みとなる。 

以上のことから茶谷栄治氏の常勤での委員長に新任する同意人事案には反対するべきだと考える。


参考

公正取引委員会

https://www.jftc.go.jp/

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